前回のレポート 「日向ひまわり独演会」 2009年9月26日(土)横浜にぎわい座のげシャーレ
	  
「日向ひまわり独演会パート3」は、9月26日満員のお客様をお迎えして、
滞りなく開催することが出来ました。心より御礼申し上げます。
また、次回もよろしくお願い致します。
横浜ひまわりの会


明日で横浜開港博150も閉幕という9月後半の土曜日、3回目の独演会が開催された。

冒頭、毎度お馴染みの美女サトウさん(仮名)が登場、ユーモラスに本日のプログラムを紹介、期待が高まる。
情緒たっぷりの出囃子にのって、茶系の和服姿の日向ひまわりさん登場。通常、講釈師の方は出囃子なしで
出てこられるが、ひまわりさんは、落語芸術協会所属のせいか、出囃子で登場。やはり出囃子で登場されると、
演芸ファンの血が騒ぐ。

ひまわりさん、マクラで、演芸の会というものは3回目が危険な会で、このあたりから客足が落ちてくるのが
常で心配していたが、嬉しい誤算で、今回の大入りはことのほか嬉しい、と語る。この会がすっかり定着して
きた感じで、これから長く続いていくことが予感される。

一席目は、「野狐三次 木っ端売り」。野狐三次の噺は、浪曲・講談でさまざまなエピソードが残されているが、
今回の噺は、のちに江戸で、に組の纏もちとして男を売った野狐三次の少年時代のエピソード。病床の母を助けるため、
大工の棟梁の木っ端を分けてと頼みにいく三次の物語。子が母を思う切ないばかりの心情がしっとりと語られる。
ひまわりさんの少年少女描写は定評があるが、これなどはその典型で、そのしぐさの絶妙さがジワーッと心に染みてくる。

続いては、ひまわりさんが「最も緊張する」と語る、トークショーの時間。
これまでの独演会で、ひまわりさん自身のこと、講談のことはいろいろ話してきたので、今回は講談実践教室をやろうと
いう趣向。サトウさん(仮名)が生徒になって、講談修羅場読みの原点「三方が原の合戦」の冒頭シーンが、課題。
まずサトウさん(仮名)がやってみせるが、まったくサマにならない。ここで、ひまわりさんが模範演技を披露。
うーん、やっぱり全然違う(当たり前だが)。メリハリの部分が違うのですな。そこで、小センテンス毎の練習に入り、
観客席も交え大きな声で読み上げ、笑いのうちにもだんだん進歩が実感出来、みなさん本気になってきた。
特に、行の最後を海老の尻尾のように跳ね上げるという講談独特の読み方にだんだん慣れてきた。最後に、サトウさん
(仮名)が稽古の成果を披露、最後の部分をバシッと決め喝采を浴びる。観客席からも、おもしろいと絶賛の声があがる。

中入り休憩を挟んで、長講二席目は「魚屋本多」である。これは言わずと知れた、日向ひまわり十八番の演目なのだが、
やはり本寸法で演じられるとかなりの迫力である。
魚屋の宗太郎が、大名になっている父・本多隼人正と再会する話だが、この親子対面シーンがクライマックスとなる。
ひまわり講談は噺の運びが、起伏がありながら滑らかで心地良い。特に、宗太郎が酒を呑むところは絶品。アッという間に、
見せ場がやって来る。

殿様の語りの修羅場読みから、感動の対面シーンまで、一気呵成に雪崩れ込む。感動の人間ドラマであるためか、
逆にそこに至るまでの過程では笑いも多く散りばめられ、観客は笑って泣かされる、という忙しい目にあわされる仕掛けである。
修羅場読みでは、みなさん最前習ったばかりの読みを意識して、聴いていたようだ。

ひまわりさんが、前に最も好きな噺として挙げたものだけあって、充分練りこまれた至芸の世界がたっぷり展開された。

「魚屋本多」をたっぷり楽しんだあと、最後のプログラムは抽選会。今回は、ひまわりさんのふるさと広島の名産品、
世界で一番おいしいとひまわりさんが折り紙をつける横浜・港南台のケーキ屋瑠璃庵さんの焼き菓子、ひまわりさんの
色紙などがプレゼントされ、お開きとなった。




 

inserted by FC2 system