>

前回のレポート 「日向ひまわり独演会」 2011年4月16日(土)横浜にぎわい座のげシャーレ
	  


 春たけなわの一日、普段ならば心浮き立つ季節だが、今年ばかりは東日本大震災の影響もあって、
開催も懸念された7回目の独演会。自粛イベントも多い中、ひまわりファンの熱いご要望もあって、
ひまわりさん+スタッフも迷った末、開催を決断された由。
 やるからには楽しくやろうと、プログラムにも趣向をこらしての独演会になった。
満員の場内、お待ちかねの日向ひまわり登場。最初は「山内一豊 出世の馬揃い」の一席。
織田家の家臣だが貧乏なため皆から馬鹿にされている夫に、聡明な新妻・千代が内助の功を発揮して出世に導くお話。
ひまわりさんの数あるネタのうちでも、スカッと爽やか、元気の出る講談決定版の趣き。こういう時期に
あえて聴いて欲しいという、ひまわりさんの思いや意欲がヒシヒシと伝わってくる佳品。噺のメリハリつけ方に、
進境著しく、安心してひまわりワールドに酔えた一篇。
中入り休憩を挟んで、二席目は「徂徠豆腐」。これは本来、赤穂義士外伝として語られるもので、
年末に読まれることの多いネタらしいのだが、荻生徂徠の若き日の心温まるエピソードを、
今回この時期にお届けしたいとの願いから実現した心に染みる逸品。それを繊細に紡ぐ、緩急自在のひまわり芸。
誠実に生きるということの意味が、鮮やかに立ち上がってくる。正直心ゆくまで酔われた。
 二席終わったあとに、トークショーが組まれた。今回は中入り休憩でお客さまに記していただいた質問に
ひまわりさんが答えるという趣向。講談に関するものから、プライベート的なものまで、人柄そのままに、
ていねい答えるひまわりさん。アッという間に時間が経ち、全部の質問に答えられなかったことを詫びていた。
今回は東日本大震災のこともあり、ひまわりさんグッズが希望者に販売され、その売り上げ30,220円が
義援金として神奈川新聞文化事業団から日本赤十字を通じ、被災地に義援金として寄付されたそうだ。
今回も楽しさと面白さが充満した会で、終演後の観客のみなさんの笑顔が印象的だった。

                                   
                                    (H)



 

inserted by FC2 system